11月, 2018年

松島龍戒声明コンサート かつらぎ総合文化会館大ホール

2018-11-26

松島龍戒声明コンサート
和歌山・かつらぎ総合文化会館大ホール

700名の会場いっぱいのお客様にご来場いただき、
無事大役を果たすことが出来ました。
コンサートを終え、うまく気持ちを表現することが
できないので、箇条書きにてご無礼致します。
なので全部読まなくても、どこを、どんな順番で
読んでも良いようになっています(笑)

■「お経のコンサートって、、はぁ?(笑)」
友達に誘われたときはそう思ってましたと、
終了後に挨拶にきてくださったおばあちゃんが
こう続ける。
「半信半疑、なにやら陰気くさいコンサートでは?と、
来てみたら、、こんな明るく感動的なものだったとは。
夫のお葬式の時は忙しくて、じっくりお経を聴くなんて
心境じゃなかったのですが、今日は夫のことを思い出し、
お経を聴きながら涙が止まりませんでした。」
有り難くも励みになる言葉を賜った。

■お経とは、人の喜怒哀楽、どんな場面、心境にも
そっと触れてくれるもの。ゆえにお経の声だけでも
感動を生むものであるが、
さらに多くの感動を得るに、音楽の力は大きい。

■今回の楽監修は車川知寿子さん。
1984ロス五輪シンクロの楽曲「雅」を作曲、
このようなかたに手がけていただけた幸運に感謝したい。
私の作曲の編曲のほか、車川さんの真骨頂、
和のテイストをたっぷり注ぎ作曲いただいた
「般若心経」や「至心回向」は見事の一言。

■車川さん、今回の作曲、編曲にあたり、
お経、声明の意味はもちろん、基礎や由来を徹底的に学び、
さらに私が仏教音楽で表現しようとしている趣旨やイメージも
とことん知り尽くした上で臨もうとされているご姿勢に、
もったいなく、心躍らされた。

■本番ギリギリまで細部に亘るアレンジの見直し修正、
曲の加筆に心血を注いでくださった。
こうした熱意によって生み出された仏教音楽が、
人々の心に響かないはずがない。

■車川さんをはじめとする、コーラス指導の先生がたによる、
混声合掌グループ「Uグイス」の見事なご指導。
28名のメンバーの中には、お経を歌うなんて?と、
よくわからないままに参加されたかたも居たであろう。
そのグループをよくご指導され、この大合唱がなければ、
あれほどまでに感動的な般若心経はあり得なかった。

■お客さまの多くはUグイスのみなさまの大合唱に接し、
お経が僧侶の専売特許でなく、誰もが供養や嬉しい時に、
唱えても良いものだと思ってくれたのではないか。

■読経に感動を与えた大きな要因が、
オペラ歌手の十鳥可奈子さん、山本弥生さん、
そして福本陽子さん、曽和敬子さんの歌声。
まさに一声に万象の響きありの声に、私自身が圧倒されながら
これまでの人生のさまざまな思いを込めてお唱えさせていただいた。

■十鳥可奈子さんとのオペラ曲「愛と別れ」の
二重唱は緊張した。他のどの曲よりも(笑)
うまく高音が出るか、ハモれるか。
なにせプロのオペラ歌手のかたに迷惑をかけたくない、
そんな一心で足の震えを押さえつけ、歌いきった。

■この二重唱は、高野山に出家した僧が一鳥の声に、
成就かなわず先立たれた恋人の声を聴くという
平家物語の一節を小川淳子さんが作詞、
千秋次郎さんが作曲したもの。
まさに空海密教の教えそのものをオペラ曲で伝えるという
意義と可能性、同時に歌うことの難しさを感じた。

■忘れてはいけないのが和歌山青年教師会の皆さま
コンサートに必要な法具や掛け軸の手配、
そして読経の習礼を、多忙の合間に奔走してくださった。
声明の細かい節の統一要求にも快く、且つ熱心に
応じてくださった。読経のプロ、を感じた。
会長の金森さんはなんとベースも弾いてくださった。
副会長の宮崎さんとは大学院以来の再会、嬉しかった。

■メインの演奏は、車川さんのエレクトーンに加え、
ピアノ・塙坂仁美さん、パーカッションの池田安友子さん。
今回はエレクトーンの多彩な技に大きな可能性を感じた。
3つの楽器で、これほどの音楽表現が可能になるのかと
脱帽、感激した。
さらに、尺八・辻本公平さん、三味線・和田正史さんが、
理趣経や般若心経で、グルーヴと和を表現してくださった。

■そもそも今回のコンサートは、
プロデューサーの防野宗和さんの団体、
紀州かつらぎふるさとオペラの企画運営・主催によるもの。
私にとっては、初の自主企画でないコンサートで、
学ぶところが大きかった。

■主宰の防野さんの人を動かす力、やる気を引き出す熱意、
そして、長年地元でのイベント開催を続けてこられた、
情報発信力などに甚だ感服した。

■今回集まってくださったお客様の多くは、
これまでも防野さんのイベントを観たことがあって、
「防野さんのイベントならきっと面白いに違いない」
そう信じて集まってくださったかたであろう。
いわば多くの防野さんのファンに、また新たな防野さんの
イベントの可能性を感じてもらえる一助となれたかどうか。

■「感動した」と声をかけてくださったかたは
たしかに多くいらっしゃった。
が、「良くなかった」かたは決して声をかけてはくれない。
これからもおごることなく、有り難い仏教の響きを、
それを必要とするたくさんのかたがたにお伝えできるよう
精進していきたい。

合掌

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